犬は汗をかかないらしい。
人間のように汗腺が発達していないからだ。
犬の汗腺は肉球にはあるそうだが、体温調節は舌をハアハアさせて行う。
一方、人間は体温調節(体温を下げるとき)を汗をかくことで行う。
ヒトの汗腺は2種類ある。
「小汗腺(エクリン腺)」と「大汗腺(アポクリン腺)」だ。
エクリン腺は全身に分布していて、皮膚に開口する。
アポクリン腺の方は、脇の下・乳首・下腹部にのみ存在し、毛根に開口する。
そして、ヒトが汗をかく要因は3種類ある。
①温熱性発汗 ②精神性発汗 ③味覚性発汗 だ。
①は運動や気温の上昇などで体温が上がったときに出る汗だ。
手のひらと足の裏以外の、全身のエクリン腺から出る。
②は驚いたときや緊張したとき、ストレスなどで出る汗だ。
手のひら、足の裏のエクリン腺と、脇の下のエクリン腺・アポクリン腺からだけ出る。
脇の下は両方の腺が一緒に働く珍しい場所だ。
③は辛いものや酸っぱいものを食べたときに出る汗だ。
主に鼻の頭やおでこのエクリン腺から出る。
つまり、体温を下げるための汗は全身の「エクリン腺」から出る、ということだ。
エクリン腺から出る汗は、無色無臭。99%が水だ。
水以外ではほとんどが塩分だ。
その他ではカリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、重炭酸イオンなどのミネラルや電解質、さらに乳酸、尿素などの老廃物が、わずかに含まれるという。
汗の素になるのは血液である。
血液が汗腺で濾過されて、なるべく純粋な水分だけにして皮膚から分泌される。
無色無臭、さらさらの水が、一番蒸発しやすく、効率よく体の熱を奪ってくれる。
この汗腺での濾過機能が弱っている人や、あまりに一気に汗をかきすぎて濾過が追いつかない場合、水分以外の上記のものたちが汗に混ざる割合が増えてくる。
塩分やその他の成分の多い汗は、粘り気が強く、蒸発しにくい。
そのため体温も下がりにくい。
また、ミネラル分が血液から失われた場合、身体の疲労感や倦怠感があらわれることになる。
俗に言う「いい汗」「悪い汗」というやつだ。
さらさらのいい汗、ベタつく悪い汗。
汗腺の濾過機能を高めるのは、汗腺をよく使うことだ。
よく運動して、よく汗をかく人の汗は、薄くてさらさらしている。
逆に運動不足の人は濾過機能が弱り、ベタつく汗になりやすい。
また、蒸発しやすい汗は「皮膚がしっとり湿った状態」くらいであること。
「ダラダラ滝のように流れる汗」はあまり蒸発しない。
濡れタオルなどで拭ってあげるとよい。
ちょっと動いただけですぐに滝汗になる、これを改善するのもやはり運動であるという。
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というわけで、今日は午後から時間がとれたので運動することにした。
走るか、歩くか、漕ぐか?
天気はいいけど風は涼しい。
海へ向かって自転車を漕いでいくことにした。
だいぶ年季の入ってきたクロスバイクで2時間、往復30kmほどの道のりを漕いでいく。
うちは真夏でもあまり冷房を使わない。
妻も子どもらも僕も冷房が苦手だ。周りから見られることもないので、夏の間は家じゅうの窓を全開にして暮らしている。
わりとよく運動をする我が家の人たちは、それでもあまり暑さを苦にしない。
僕もちょっとずつ動いて、身体を暑さに徐々に慣らしておかないと。
ほんとに今日はカラッとして暑すぎず、自転車を走らせるにはちょうどよかった。
河口に架かる長い橋を渡るとき、見上げた空の青さと、風の心地よさに幸せを感じた。
片道1時間でたどり着いた海は、ちょっと座って景色を楽しむといった感じでもなく、漁業より工業、自然より生活、みたいな感じの微妙な場所だった。
目的は「いい汗をかくこと」なので、これは達せられた。
帰り道に少し足が攣った。
シャワーを浴びて、あずきバーをかじった。歯が折れた。(嘘)