今日で十一月も終わる。
仕事場にクリスマスツリーを出した。
近頃、お店なんかではシンプルでお洒落なツリーをいろいろと見かけるが、開業した頃に買ったうちのツリーは「昔ながらの」という言い方が似合うようなクリスマスツリーだ。
出す時、片付ける時、刻み海苔みたいな緑色のビニールの葉っぱが毎回そこら中に散らばる。ベルやら玉やら小人やら松ぼっくりやらを吊るす。
てっぺんの星をつければ、これでもうクリスマスツリーだ。
ツリーの足もとがプラスチックでは味気ないので、ダンボール箱に木目調の紙を貼ったもので覆い、手芸用の綿で雪を積もらせる。今はもういない、初期のスタッフと一緒に工作をしたことを思い出す。
チカチカと不規則に灯るのはLEDではなく豆電球だ。
開業してから二十年弱、様々な事が変わってきた。
近所の店もすっかり入れ替わり、前の道路を走っていたバス路線は無くなった。
電球も蛍光灯も世の中から無くなりつつある。看板だって替えなければならない。働く人の意識も変わり、宣伝方法も変わり、集客方法も変わり、お金の支払い方も変わる。ちょうどそんな時期だった。
たくさんの人と出会い、別れた。別れたと思っていなくても、もう二度と会わない人っていうのは無数にいるのだろう。
変わらないものってあるのかな。
うちのクリスマスツリーは変わらない。(刻み海苔がすべて無くなってしまうまでは。)