姉が柿がまだまだ生っていると言うので、妻と娘は朝から柿をもぎに行った。そして20個ほどもいで帰ってきた。妻は早速皮を剥いてバルコニーに干していた。
これなら県外で暮らす大学生の長女にも食べさせてやれそうだ。送ってやってもいいし、冷凍してお正月に帰省してくる時の楽しみに取って置いてもいい。
うん、冷凍だな。そうしよう。
僕はといえば、この土日は阿呆のようにサッカーばかり観ていた。
土曜日の仕事から帰って、清水と磐田の静岡ダービー、アジアカップの男子サッカー決勝戦。日曜日の今日は、天皇杯の二試合と推しチームのリーグ戦。
推しチームの試合以外は、「食事をしながら」とか「ウトウトしながら」とか「このブログを書きながら」とかではあったが。
僕にはハーフタイムの15分間に風呂を済ませる「ハーフタイム入浴」という技もある。前半アディショナルタイムに入るくらいのプレーの切れ間にお湯を張りに行き、前半終了の笛と同時に風呂へ行く。体を拭いて出てきたらちょうど後半キックオフの笛が鳴るところだ。
今日の夕方、洗濯物を取り込もうとしたらバスタオルに鮮やかな緑色のカメムシが付いていた。
今年は各地でカメムシが大発生しているというニュースを聞くが、うちのマンションでも確かに多い。9月頃から、北向きの外廊下にはカメムシがたくさん止まっている日があったが、南向きのバルコニー側ではあまり見かけなかった。
今日はバルコニー側に何匹もいて、初めて洗濯物にもくっついていたのだ。最近は洗濯物を取り込む時に毎日カメムシチェックをしていたし、何より干し柿にくっついて欲しくない。
バルコニーの外に向かって、カメムシを振り落とそうとパッパッとバスタオルを振ったがびくともしなかった。思いっきりバサッバサッと振ったら、カメムシは落ちることはなく空へと飛び立った。
と思ったら、またこっちへ向かって飛んできた。
僕はバスタオルを振り回して追い払った。しかしまたすぐにバルコニーに帰ってこようとする。二、三度バスタオルを振り回して追い払った時、カメムシの目の色が変わった。(確かにそう感じた)
明らかに僕に向かって真っすぐ飛んできて、僕のおでこにぶつかった。
「うわあッ」情けない声を出しながらバスタオルを顔の周りでブンブンした。
もういい。バルコニーからカメムシを追い払うのは諦めて、とりあえず洗濯物を入れてしまおう。
バスタオルを手に網戸を開けて部屋に入ろうとしたが、視界の端に微かな違和感を感じる。 「ん?」 眼鏡を外すと、眼鏡のつるのテンプルの部分にさっきのカメムシが止まっていた。
「わあっッ!」思わずまた声が出た。今度は眼鏡をブンブンした。
いつの間にか小雨も降りはじめており、僕は急いで洗濯物と干し柿を部屋へと入れた。
先週干した方の柿は、だいぶ干し柿感が出てきた。これなら上手く出来そうである。