今週、また他の方から渋柿を二十数個ほどいただいた。いただき物って重なることがある。
最近このブログが干し柿の話ばかりになっているのは自覚している。「totoを当てる日」じゃなくて「柿を干す日々」だ。でも、もらったら「速やかに干す」以外の選択肢はないので、仕事終わり、夜中にひたすら柿を剥き、紐に吊るす。
トータルで50個を超えてきたので、だんだん干すスペースも逼迫してきた。洗濯物も干したいし、晴れた日には布団も干したい。物干しスペースをやりくりする。
空気が乾燥してきて、風もあって、晴天が続く。ものを干すにはいい時季だ。
昨日の夜、いつものバレーボールから帰って来た妻が、「玄関の前に鳩がずっといる。」と言ってきた。マンションの僕の部屋の玄関の前、手すり壁の上に夕方からずっと同じ鳩がいるらしい。
「近づいても逃げないんよ。」
正確には飛びたたずにに歩いて逃げるらしい。
近づいて行くと、手すり壁の上をひょいひょいと数歩歩いて逃げ、また一歩近づくとひょいひょいと数歩歩いて逃げ、を繰り返し、エレベーターホールのある壁の曲がり角まで来ると、軽く飛んで再び僕の部屋のドアの前に戻る。
また、玄関の前から追いやると、ひょいひょいと歩いて少しずつ逃げ、壁の曲がり角まで行くと軽く飛んで玄関前に戻る。
2~3回それを繰り返したのち、妻は家に帰って来たらしい。
「両足に何か黄色い輪っかが付いてる。あと、めっちゃ大量のウンコしてる。」
水と、数枚のチラシを折りたたんで作った棒を手に、妻はもう一度玄関を出て行った。
しばらくしたら糞を掃除した妻が帰って来た。「やっぱりずっといるんよ。」
以前に住んでいたマンションで、やっぱりうちの玄関前に、鳩のつがいが数本の藁みたいなもので雑な巣を作って、卵を生んでしまったことがあった。鳩は営巣本能が強くて「ここを巣」と決めてしまったら退かない生き物だという。
ただ、「あまりにもうちの玄関前」だったもので、妻はその卵を靴先で転がして移動させようとした。そしてうっかり卵を壊してしまった…。
その後しばらくの間、妻は玄関を出ると二羽の悲しそうな鳩に付き纏われるようになった。
あれ以来、妻は玄関前の鳩に敏感だ。(普段は鳩が来ることなんてないけど)
「伝書鳩か、レース中の鳩だな。」僕は言った。
多分、飼われている鳩で人に慣れているから逃げない。レースの途中で、今日はもう長距離を飛んでクッタクタに疲れ果てているのだろう。「おっ、良さそうな場所がある。今夜はここで羽を休めよう。」そう決めたんだと思う。必死で飛んでいる間、ずっと我慢していたウンコもやっと出せたんだろう。
だから、そっとしといてやんな。おそらくプロの鳩だよ。
「えー?そうかなぁ。」妻は言った。
今朝、仕事に行くのに部屋から出たら、もう鳩はいなかった。
再び旅立っていったのだろう。
あとには昨日の三倍の量の、山盛りの緑色の糞だけが残されていた。
「鳩がゆっくりできたわ、ありがとうって言ってたよ。」僕が言うと、
「えー?そうかなぁ」と妻が言った。