ギターを始めて5,6年にはなる。
でも、いまだに初心者気分だ。
上達はきわめて遅い。
コード弾きで歌の伴奏にするぶんには、ギターはリズム楽器だと思う。
自分のリズム感の無さが嫌になるが、こういうのは「頭で考えてできる」ものではなく、いわゆる「身体で覚える」ものなのだろう。
やり続けることで少しずつ身につく。
僕のギターも亀の歩みではあるが、まったく上達してないこともない。
最近でいえば、あいみょんの「愛の花」は初見でもそれなりに弾けるくらいにはなっていた。
8分の6拍子になるのかな? 三拍子系の
ジャンジャカジャカ、ジャンジャカジャカ……のリズムは弾いていて心地いい。
若い頃なら(年齢は関係ないのかもしれないけど)、「もっと早く上手くなりたい」と焦ったり、一気に熱を上げて、急に冷めるみたいな感じだったりしたかもしれない。
いい意味で「諦めてる」のがいいような気がする。
「弾きたい曲」は難しいから「弾けそうな曲」でいいや。とか、
まあ今日はここまででいいや。とか。
難しくて無理! と思って投げ出した曲が、一年後ならそこそこ弾けたりする。
***
上手くできない事は楽しくない。かもしれないけど、「できない」と「嫌い」は違う。
できなくても「嫌い」にさえならなければ。
「できない毎日」でも続けてさえいれば。
ちょっとずつちょっとずつ、いつの間にか「できる」が増えている。
特に「仕事」なんかがそうじゃない?
最初から上手くこなせる人なんていない。
教えてもらって、失敗して、考えて、失敗して、人に聞いて、考えて、ちょっと上手くいって、でもまた失敗して。
苦しいけど、そんな繰り返しを続けていると、いつの間にか「できる」が増えている。
どんな仕事でも、お金をもらえるプロになるのは簡単じゃない。多分、年単位で時間がかかる。
僕も、この道一筋◯十年で、自分が好きで選んだ仕事をしてるけど、「ちょっとずつでも上達してる。人の役に立っている。」と思える日と、「この仕事、僕には向いてない。才能ない。もう辞めたい。」と思う日は、今でも繰り返しやって来る。
「嫌い」「嫌だ」と思ってしまうと、何ごともやっぱり上達しない。
どうしても好きになれないものは辞めるしかない。
すべてが「好き」ではないにしろ、「何かいいなと思える瞬間」をつなぎ合わせながら、どうにか仕事を続けている人が多いんじゃないだろうか?
それは仕事の面白さなのか、誰かの役に立てると感じることなのか、一緒に働く人なのか、楽なことなのか、自分の得意なことなのか、お金がもらえることなのか。
どれも大事だ。
家から近いとか、自分を磨くためとか・・・ 人の価値観は無限だね。
どれも自分にとって大事。
仕事が全てでもないし。
もっと大事なものだってある。
家事も大事。育児も大事。趣味も大事。生きるのが大事。
何を優先するかも、人生のその時期によって違う。全部が全部、同時に上手くやれるわけがない。
いい感じに「諦めてる」からこそ、できること、続けられることもある。
「焦らなくていいよ。」人に言いながら、自分に言う。
***
ギターを弾く間、締め切っていた窓を開ける。
日が沈んだばかりの、初夏の涼しい空気が部屋の中に流れ込んでくる。
言葉足らずの愛を 愛を貴方へ
私は決して今を 今を憎んではいない
あいみょん「愛の花」より