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「キリエのうた」を観に

書いているうちに日付が変わってしまったが、仕事が早く終わる今日、夕方から一人で映画を観に行った。「キリエのうた」である。

(僕自身が事前情報を全く知らない小説や映画が好きなので、あらすじも内容のわかる感想もない、いつもの感じです)

 

以前から出演者が話題になっているのはよく見かけたが、内容についての情報は全く知らず、まあ観に行くことはないかなぁと思っていた。

ただ、宮城県出身の岩井監督がいろいろと迷いながら震災のことも描いた作品らしいということ。また、上映時間が3時間もあり、どっぷりと岩井映画の世界に浸ることができるのではないかという期待も感じ、やっぱり劇場で観てみたくなったのだった。

平日の夕方、3時間の作品ということもあるのか、一日一回の上映であるにも関わらず観客は三人きりであった。

 

映画の初めの方、画面に懐かしい場所が現れた。僕が仕事を始め、結婚して子育てをしていた大阪。七尾旅人が座ってギターを弾いていた天王寺公園のその場所は、僕の娘が子役事務所のスカウトに声を掛けられたあの場所じゃないか。

それはさておき、僕はこの映画の中で、子ども時代のルカが出てくるシーンはとにかくずっと涙が滲んでしまっていた。事情もよくわからない初めのシーンからずっとだ。あの子から寂しさと悲しさが溢れてたんだな。あるいは子どもを見ると泣いてしまう病か。

 

僕は岩井俊二の映画に漂う雰囲気が好きだ。

ロマンチックでありノスタルジックであり、切ない。優しさと残酷さ、逞しさと儚さが入り交じる。リアルな現代社会の中で、おとぎ話みたいな物語が繰り広げられる。可愛らしいユーモアがあり、また「わかる人にはわかる」みたいな小ネタが散りばめられている。どの作品にもそういう要素が含まれていると思う。

まず岩井俊二の書く物語が好き。

そして画の美しさがあり、使う音楽もいつも好みだ。

 

「キリエのうた」は劇場で観て正解だった。物語終盤の多少陳腐にも感じてしまい得る展開も、劇場ならではのその画と歌の力で押し切られてしまいながら、フィクションとしての結末と受け止められる。

今日はハンカチを持っていなかったので、しばしば流れる涙はそのままで、なんとなくマスクが吸っていった。

個人的には、誰かと一緒に観るよりも一人で観てよかったと感じた映画でもある。一緒に行った人の反応を感じたいというよりも、一人で没入したい感じ。その点では、申し訳ないけれど観客三人の館内も悪くはなかった。

でも、「観た人と語り合いたい」と思える映画でもある。

 

内容についての感想ももっと書きたいところではあるが、ネタバレはしない主義なので我慢してそろそろ寝ることにする。  おやすみなさい☆彡